FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

わが国におけるNIPTの今現在についてまとめておく (1)

第53回日本周産期・新生児医学会3日目です。 一昨日の議論の後の帰路、考えを巡らせていたのですが、もう一度NIPTの今現在についてまとめておく必要があるなと思いました。 端的に言うと、なぜ常勤・非常勤で複数の臨床遺伝専門医が診療に携わり、また認定遺…

羊水検査・絨毛検査はどのくらい危険なのか?

当院を受診される方の中に、一定の割合で羊水検査などのいわゆる侵襲的検査について、強い抵抗感をお持ちの方がおられます。その理由の主なものは、流産の危険性や胎児に針が刺さることで問題が起こるのではないかということを懸念されてのことのようです。…

海外で可能な検査が、国内では規制される現状はかわるのか ーキャリアスクリーニングに関連してー

今年5月に、ある民間企業がキャリアスクリーニングを国内導入しようとしているという記事が、読売新聞に載りました。劣性遺伝病の疾患遺伝子の保因者検査をおこなうことで、重大な劣性遺伝病をもった子どもの出生を防ぐという考えに基づいた検査は、ある特定…

妊婦さんやその家族の声は響きにくい?

第53回日本周産期・新生児医学会に参加しています。 朝一のパネルディスカッション、『NIPTー何が問題かー』では、検査のありかたに関する意見が、いつもこのような場で出生前検査に対して否定的な見解を述べられる重鎮の先生から発せられたので、心配を抱え…

18トリソミーに関連した議論に感じる違和感(2)

(つづく)と記した前回の記事から2カ月が経ってしまいました。ブログ更新が滞っていたことには、特別な事情があるわけではありません。ただ単に仕事に追われていたのですが、GWでリフレッシュして、また頭を整理し始めています。 さて、前回の続きです。 18…

18トリソミーに関連した議論に感じる違和感(1)

周産期学シンポジウム『周産期医療における「遺伝」を考える』から、1カ月が経ちました。この時に考えたことをもう少し整理しておかなければならないと思っていたのですが、この間、胎児心臓病学会などもあって、少し時間を要してしまいました。 周産期学シ…

胎児の“むくみ”(あるいは、NT)について (2)

3月に入ってからもまだまだ寒い日が続いていますが、少しづつ日差しは春らしくなってきているような気がします。 さて、新年早々に、NTについての記事を公開しました 胎児の“むくみ”(あるいは、NT)について (1) - FMC東京 院長室 が、あいかわらず、“むく…