FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

不便を強いられる妊婦さんのケースから、日本の現状について考えてみる。

当院には、いろいろな相談や問い合わせが来るのですが、先日以下のようなケースがありました。 ・かかりつけのクリニックで双胎妊娠(ふたご)であることがわかる。 ↓ ・ここでは管理が難しいと、少し大きい病院(総合病院)を紹介され、受診。 ↓ ・そこでも…

NIPT 海外ではどうなっているのか -2

NIPTの海外事情、今回はイギリスの状況報告です。 以下の記事は、現在LondonにあるFetal Medicine Foundationの総本山・King's Collage Hospitalで、Prof. Nicolaidesの元、修行を積んでいる、林 伸彦医師からいただいた情報を元にまとめています。林医師は…

日本人類遺伝学会に参加して(雑感)

日本人類遺伝学会 第62回大会に参加しました。この学会は、私たちのクリニックのスタッフにとっては、国内ではメインの学会と言えるものです。私(院長・中村靖)と田村(医療情報・遺伝カウンセリング室長)の2名が学会の評議員を務めています。まあ、評議…

NIPT 海外ではどうなっているのか -1

NIPT (Non-Invasive Prenatal Testing) は、日本医学会をはじめとした学会などの学術的な場では、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」と表現されることが一般的なのですが、なぜかマスコミなどは、「新型出生前診断」と表示しています。この時点で既にミス…

出生前検査を普及させない方が良いという声に、癌告知の過去を想う。

毎日、出生前検査・診断の現場に身を置いて、理不尽な現状に翻弄される妊婦さんやそのご家族をみていると、この状況がいつになれば変わるのか、どうすれば変えることができるのかということを、いつも考えます。 同じように変わらなければ・変えなければいけ…

出生前検査を受けることに罪悪感を持つ必要はありません。遺伝カウンセリングでは、自己決定(選択)のお手伝いをします。

以下のようなニュースを、Yahoo! ニュースで見つけました。 わが子がダウン症だったら?― 出生前診断を受けた夫妻の選択 - Yahoo!ニュース 超音波により疑い⇨羊水検査⇨診断 という流れで、お腹の赤ちゃんがダウン症候群と診断されたが、産み育てる選択をされ…

不育症患者が増えている!? ーーつづき3

『副作用の心配が少ないなら、気休めの医療でも何もしないよりいい。』という考えで薬剤を投与することは良くないと、前回書きました。日本ではこのような医療が多いのではないかと思うのです。特に、薬が何かを解決してくれるという気持ちの方は多く、それ…