FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

お腹の赤ちゃんの大きさについて、心配している妊婦さん。それは普通なんですけど。医師の説明が悪いんです。

以前から気になっているのですが、当院に検査(特に中期以降の超音波検査)目的で来院された方に、「普段の妊婦健診で指摘されて気になっていることはありませんか?」と伺うと、けっこうな頻度で「頭が大きいと言われた」など胎児の大きさについての指摘を…

ISUOG 2018 国際産科婦人科超音波学会学術集会で感じた、日本だけが取り残されてしまう危機感

2018年10月20日土曜日〜24日水曜日に渡ってシンガポールで開催されていた、国際産科婦人科超音波学会の学術集会ISUOGに参加して来ました。 今年の学会では、私がベルギー留学時代にお世話になったProf. Jan Deprestが、産婦人科超音波分野に貢献した人物に贈…

出生前検査の実施について管理する立場の医師は、もっと謙虚かつ寛容であるべき - 日本人類遺伝学会に出席して

先週末、日本人類遺伝学会第63回大会と、それに引き続いて行われた全国遺伝子医療部門連絡会議に出席してきました。 ここで話題にしている問題に最も関連しているプログラムとして、『シンポジウム20 5年間の臨床研究から見えてきたNIPTの現状と将来への提言…

混沌としてきたNIPT事情。どうする日本医学会、日本産科婦人科学会。

先日、うちのスタッフがこんなサイトを見つけました。ここで紹介すると宣伝になるので、本当はリンク貼りたくないのですが、見ないとわからない部分もあるので、貼ります。 出生前診断におすすめの東京のクリニック5選【染色体検査等に対応】 このサイトはラ…

受診者さんからの手紙:ヤコブセン症候群を持つ子のお母さんより

先日、当院で検査をお受けになったのちに、赤ちゃんを出産された方から、感謝のお手紙をいただきました。このようなお手紙は、スタッフ皆にとって大変励みになります。 この方は、5年前に出産された男の子に、『ヤコブセン症候群』という希少な染色体微細欠…

前途多難。(どうすればこの国の出生前検査の現状が改善できるのだろうか)

もう8月も終わりに近づいてきたわけですが、また暑さがぶり返してきて、体力を消耗する日々です。そんな中、最近たてつづけに悪い意味で驚くべき相談事例があり、気力まで消耗しそうになっています。もう本当にこの国は今後大丈夫なのか、この国でやっていけ…

東京医大入試問題を機に、医療界の問題、医療の仕組みの問題など、もっとみんなに知ってほしい。

いま世間を賑わしている、東京医大の入試における女性差別問題。いろいろな立場の人が、様々な意見を開示しておられますが、当事者ともいえる医師、それも大学医局の仕組みの中での苦労を知る医師からの発言が、問題の本質に踏み込んでいて、この問題が単な…