FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

NIPTの議論のなかに透けて見える本音。解説しましょう。(1) まずは歴史的流れから

今回の日産婦の発表を受けて、新指針や各学会の声明など、もう一度読み直してみたりしているのですが、こういった医学・医療の世界の人たちがどのように考えているのか、一般の方々には今ひとつわかりにくいのではないかと思います。みんな尤もらしい内容を…

学会同士のいがみ合いで重い腰を上げた厚労省。どのような審議が行われるのでしょうか。

さて、昨夜のNHKニュースです。 厚生労働省は、日本小児科学会などが実施施設の拡大に反発していて、「混乱を避けるためには国が対応する必要がある」として、この夏にも検討会を設置して、検査の在り方を議論していくことを決めました。これを受けて日本産…

日本産科婦人科学会が出した、“新しい「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に関するお知らせとお願い” を読んで

さっそく、昨日発表された『お知らせとお願い』を読んでみました。 先走っていた毎日の記事では、新指針の決定は見送る方針と書かれていましたが、そうではなくて、臨時理事会では新指針が承認され、それに引き続き行われた臨時総会で報告し、了承が得られた…

厚生労働省がNIPTのあり方を議論する検討会を今夏に立ち上げるそうです

3週間ほどブログの更新が滞っていましたが、この間、いくつかの記事を書いては最終的にまとめられず、書きかけのままのものが溜まりつつあります。しかし、表題のニュースが出ましたので、これからしばらくはこの話題で行くことになると思います。今書き溜め…

出生前検査は、中絶することが目的の検査なのか?

私にとって、忘れられない出来事があります。5,6年ほど前のある学会での出来事です。その学会の中の一セッションのテーマが、妊娠中における胎児スクリーニング検査で、4題ほどの発表の一つを私が担当しました。私は、当時の職場での検査データをもとに発表…

出生前検査に関して、あまり知られていない日本だけの特殊現象がある

NIPT(母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査)の指針の改定に関して、来月には日本産科婦人科学会理事会からの発表があると予想され、またこの件についての議論が沸き起こることを予想していますが、これまでの取り上げられ方を見ていて、どうもあまり気…

NIPTよりも超音波検査を規制した方が良いのではないか?

NIPTの話題で忙しくなっていますが、今週末ちょうどタイムリーに、日本超音波医学会第92回学術集会で、関連したワークショップがあり、登壇することになりました。 これは、この学会の「特別プログラム 産婦人科」の中の一つとして行われる、ワークショップ …