FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

ニュージーランド政府が中絶に関する画期的な法案を提出

BBCニュースの8月5日付記事で、ニュージーランド政府が中絶に関する法律を変更する法案を提出したニュースが配信されていました。 www.bbc.com ニュージーランド政府は、妊娠中絶を合法化(解禁)し、妊娠20週より前までは女性が自ら中絶を選択できるよう提…

NHKハートネットTV『シリーズ 出生前検査』を見て 私の視点(2)

ようやく第2回を見ることができました。 7月9日に放送された、「シリーズ出生前検査(2)『それぞれの選択を、支えるために』 」です。 この放送におけるテーマは、3つの局面のうちの 3. 検査の結果を受けて、産む/産まない の部分で、 この選択に関わるい…

国が実態調査をするそうです。何の実態をどのように調査するのか、気になりつつ悶々とする夏の日。

梅雨が明けて猛暑の夏がやってきました。 そういえば昨年、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」施設認定・登録部会宛に登録申請を提出したのはこの季節だったと思い出し、確認したところ、私たちの施設からは7月20日づけで申請書を送付していました。もう1…

最良の選択が「非認定施設」でのNIPT検査だという皮肉

日本産科婦人科学会の理事会、臨時総会、厚労省子ども家庭局母子保健課長通知を受けての新指針運用の停止から約4週間が経過する中、様々な動きが出てきているようで、いろいろな団体が意見開示や会合を行う話が伝わってきています。このように周りが騒いでい…

NHKハートネットTV『シリーズ 出生前検査』を見て 私の視点

遅ればせながら、先日放送されたNHKハートネットTVの『シリーズ 出生前検査』を録画しておいてあったものを見ました。まだ、「第1回 妊娠- その時、どうしたら?」しか見てませんが、感想を記しておきます。 ご覧になった方も多いと思うのですが、簡単に内容…

第55回日本周産期・新生児医学会学術集会 シンポジウム4「新型出生前診断(NIPT)が、優生思想に流れないために」 噛み合わない議論

2019年7月13日から15日の3日間にわたって、長野県松本市で開かれた、第55回日本周産期・新生児医学会学術集会に参加してきました。表題のシンポジウムがあり、流石にこのことに言及しないわけにはいかないでしょう。 本当のところ、今回の学会には当院から一…

妊婦が置かれている現状に目を向けずに論じていませんか? 論点のズレを認識してほしい。その3

続きです。 ・検査の広がりは妊婦の不安を煽り、安易な中絶につながりかねない。また、検査が一般化すると、妊婦は検査を受けるように重圧を受けるし、異常のある子を産み育てることに対して批判的な風潮や自己責任論が広がる懸念がある。 こういう論調は、…