FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

NIPTのオプションが増えることは、安心が増えることとは必ずしも一致しないかもしれない(その2)

その1では、疾患の頻度(事前確率)が低い場合、検出感度が高い検査であっても、陽性的中率はそれほど高くはならないという話をしました。 さて、では認定外NIPTクリニックでは当たり前のように行われている、微細欠失症候群の検査ですが、これらの疾患はい…

NIPTと超音波検査との関係性について、もう一度解説しておきます。

前回は、疾患の頻度(事前確率)が低い場合、検出感度が高い検査であっても、陽性的中率はそれほど高くはならないという話をしました。 このあたりがよくわかっていないと、単純に『精度』が高い検査という名目で、なんでも当たるように思われてしまいがちな…

NIPTのオプションが増えることは、安心が増えることとは必ずしも一致しないかもしれない(その1)

以前にも取り上げた問題なのですが、出生前検査の専門施設として、日夜さまざまなケースと向き合っていると、現在、本来は出生前の胎児や先天性の疾患についてのいろいろなこと、染色体や遺伝の問題などについて、ほとんど扱ったこともないような専門外の医…

妊娠と新型コロナウイルス感染 海外からの報告 4: 胎児の医療はどう扱う?

国内でも感染者数の増え続けている新型コロナウイルス。最近の報告では、このウイルスの感染力は、発症前後の時期に強いということがわかったきたようで、つまり症状が明らかになる少し前から人に感染させる可能性がかなりあるということになります。つまり…

着床前診断について議論してきた人たちの倫理観に果たして一貫性があるのか?(その2)

その1を出してから、だいぶ時間が経ってしまいました。 新型コロナのことで頭がいっぱいになり、書きかけの原稿が止まっていたのですが、出しておかなければと思い、なんとか仕上げて出すことにしました。 日本産科婦人科学会「着床前診断」に関する見解(2…

妊娠と新型コロナウイルス感染 海外からの報告 3: 胎児への垂直感染はあるのか

3つめは、垂直感染(子宮内での、母体から胎児への感染)に関する論文です。 国際産科婦人科超音波学会(ISUOG)の機関誌Ultrasound in Obstetrics and Gynecologyにアクセプトされ、4月7日に発表された中国からの速報です。 著者は北京大学第一病院のWangら…

妊娠と新型コロナウイルス感染 海外からの報告 2: NYの43例・妊婦も重症化する率は同じ

2つめは、4月9日にオンライン上で読むことが可能になった、AJOG MFM(米国産科婦人科学会誌・母体胎児医療)にアクセプトされた論文(速報)です。 COVID-19 infection among asymptomatic and symptomatic pregnant women: Two weeks of confirmed presenta…