FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

NIPTと超音波検査は、互いに補完し合う検査として存在する。

先日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が解除されましたが、東京などでは7週間に及んだこの期間に、人々の働き方は大きく変化しました。私たち医療従事者は、日常診療など臨床業務は維持しましたが、学術集会や研究会などの学術活動は、人が集…

『命の選別』は絶対悪なのか。 - 着床前診断に関わる遺伝相談の難しさ

ジワジワとではあるものの、地道に真面目に診療を続けてきた結果、一般の方からも医療関係者の方からも、出生前検査・診断に関連する相談を受けることが増加しつつあります。そんな中、最近増えてきているものとして、出生前診断のみならず着床前診断の可能…

妊娠と新型コロナウイルス感染 海外からの報告 7: 英国から。妊娠末期のソーシャルディスタンシングが有用

久しぶりの海外からの報告です。 BMJ(British Medical Journal: 英国医学雑誌)に掲載予定の速報(プレプリント)です。 www.medrxiv.org The UK Obstetric Surveillance System SARS-CoV-2 Infection in Pregnancy Collaborative Group(英国産科サーベイ…

雑感:規範意識と同調圧力

このブログは、テーマが絞られているため、読者層もごく限定されていて、いつも興味を持ってフォローしていただいている方々には感謝しかないのですが、できればこれまであまりこの分野の話題に興味を持っていなかった人にも、気づく/考えるきっかけになっ…

新型コロナで勉強の仕方が変わる? 医療の世界でも情報収集能力の差が、格差を生むだろう。

新型コロナウイルスの世界規模でのアウトブレイクは、医療従事者にも大きなインパクトを与えています。最前線で奮闘している人たちは、これぞ医療従事者のやるべき仕事だという使命感、気概のようなものを糧に踏ん張っておられるわけで、尊敬の念しかありま…

NIPTのオプションが増えることは、安心が増えることとは必ずしも一致しないかもしれない(その3)

その1、その2では、NIPTについて、もともと頻度の低い疾患を対象にした場合には、陽性的中立は高くはならないことについて、解説してきました。そして、もしこの検査で陽性判定が出た場合に、その後の確定検査の問題についても言及しました。その先の、診断…

妊娠と新型コロナウイルス感染 海外からの報告 6: 自然流産・自然早産とは関連しない

中国における116例の新型コロナウイルス感染妊婦についてまとめた論文が、AJOG (American Journal of Obstetrics and Gynecology: 米国産科婦人科学会誌)に4月17日付で受理され、速報の形で出ていました。実際に冊子に載るときには少し修正される可能性があ…