FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

新型コロナウイルス感染 海外からの報告9: 新たな子宮内感染の報告

昨日、子宮内感染についてのニュースを取り上げたばかりでしたが、7月14日付でNature communicationsという権威ある専門誌に、新たなケースが報告されていたことがわかりました。オープンアクセスで、誰でも読むことができます。 Transplacental transmissio…

新型コロナウイルス感染 海外からの報告8: 子宮内感染と思われるケースについて

久しぶりの新型コロナウイルス関連の話題です。 First documented case of baby infected with COVID-19 in womb reported in Texas Study Findsというアメリカのニュースサイトの記事ですが、テキサス州で子宮内の胎児に新型コロナウイルスが感染したケース…

全染色体の異数性を対象とするNIPTの問題点について

最近、学会に認定されていないNIPT実施施設(いわゆる『無認可施設』)で検査を受けた結果、21番、18番、13番以外の染色体のトリソミー陽性との結果が出たという相談が、連続してありました。この場合、少し難しい問題があるのですが、こういう結果を受け取…

【続報】新型出生前診断の指針改定 何が動いた?これからどうなる?根本的な問題は解決されたのか?

先週末に急に動いた感のある、NIPT(俗にいう“新型出生前診断”)の指針の改訂と複数学会の容認の話題ですが、関係各所に聞いて回ったところ、経緯が少しわかりました。 このブログで今月はじめに出した以下の記事、私が愚痴っている間に水面下ではいろいろと…

新型出生前診断、指針を改定 小規模医療機関でも可能に?

昨夜、突然、ニュースが舞い込んできました。 なんと、日本小児科学会と日本人類遺伝学会が、日産婦の“新指針”を容認すると言うのです。これまでの経緯を知る身としては、にわかに信じがたいこのニュース、一体何が起こっているのかと思っていたところ、今朝…

「NIPTのよりよいあり方に関する提言」が関係各所に送付されました。

2020年6月17日水曜日に、「NIPTのよりよいあり方を考える有志」(呼びかけ人:齋藤有紀子・柘植あづみ)が、「NIPTのよりよいあり方に関する提言」を、関係する行政機関および学会などに送付しました。 以下のサイトに、趣旨説明および提言の全文掲載があります…

検査は『安心』につながるのか

先日来、新型コロナウイルス感染を調べる目的でのPCR検査の行われている件数や体制のあり方など、マスコミで話題になることが多く、検査の拡充を求める声が上がっていたようですが、医療関係者の側では慎重論も多く、TVなどでの情報拡散に対しては問題の本質…