FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

妊娠中絶の選択を与えない医師たち

前回、胎児の両親(妊婦とそのパートナー)がまだ希望を捨てたくない場合でも、むしろ周囲の人たち(家族や産婦人科医)が、「早いほうが負担が少ない。」などと言って、妊娠中絶を勧めるケースがあることについて書きました。 今回は、その逆のパターンにつ…

妊婦さん自身にはなくても、周囲にはあるかもしれない“安易な中絶” (2)

出生前検査・診断を専門にしていると、“安易な中絶”と一括りにして語られるものの中に、いろいろな事情があることがわかります。それは個人的な事情だけではなく、制度や社会の問題も含めた、幅広い側面を持っています。 NTが厚いと指摘されたケースを例に考…

妊婦さん自身にはなくても、周囲にはあるかもしれない“安易な中絶” (1)

先日、日産婦の理事会でNIPT(マスコミの言う“新型出生前診断”)が臨床研究を終了して一般診療になることが決定したことに関連し、以下の記事を書きました。 NIPT(新型出生前診断)、今後の実施体制は? - FMC東京 院長室 この中で紹介した、記事 新型出生…

NPO法人 親子の未来を支える会 のイベントに参加しました。

以前より交流のある、林伸彦医師(現在英国FMFに留学中)が理事長を務める、NPO法人 親子の未来を支える会 https://www.facebook.com/familyandbaby/ のイベント、ピアサポーター・ピアコネクター意見交換会に参加してきました。 1. イギリスの妊婦管理、出…

当院の医師たちが白衣を着ていない理由について

開院時より当院での診療を担当している宋美玄医師が、丸の内にクリニックを開設して半年が経ちました。ということで、久しぶりにホームページを覗いてみたところ、あることに気づいたのです。 www.moricli.jpあ、そうか、美玄さん(うちではこう呼んでいます…

今日は、『世界ダウン症の日』でした。

今日、3月21日は、国連が制定した『世界ダウン症の日:World Down Syndrome Day』です。 各地でさまざまな啓発イベントが行われたようですね。まだしばらく行うものもいくつかあるようです。 世界ダウン症の日2018公式サイト | 公益財団法人日本ダウン症協会…

NIPT(新型出生前診断)、今後の実施体制は?

先日、NIPTに関するニュースについて言及したところ(日産婦、“新型出生前診断”を一般診療として実施する方針 - FMC東京 院長室)ですが、この件についてはいろいろなところで話題になっていて、少し注目されてきているようですね。2日前にも、以下のような…

「命」について(人はいつから人なのか、など)

「新型出生前診断」と同様に、マスコミが好んで使う言葉で気に入らないものの一つに、「命の選別」があります。これを「気に入らない」などというと、反発されそうなので、丁寧に論考しないといけないと考えているのですが、まずは「命」について考えてみた…

日産婦、“新型出生前診断”を一般診療として実施する方針

いろいろと忙しくて更新をサボっていたら、前回更新した日(3/4)に表題のニュースが出ていたようですね。私自身もこの学会の会員ではあるものの、単なる一会員で中枢には関わりがありませんので、動向が外部記事などからしか伝わってきません。記事を拾って…

なぜ日本のマスコミは無痛分娩に対して、否定的な報道が多いのか?→ 正しい情報を得よう。

先日、当院を受診された方が、「無痛分娩を希望しているのだが、事故報道などを見て家族が反対している。」とおっしゃっていました。 どうも無痛分娩に関してマスコミ報道を見ていると、悪いイメージばかり強調されているようなきらいがあって、なかなか正確…

流産を止める魔法の薬などない!- 本当に必要な人のみが、本当に効果のある治療を受けるべき。

前にも書いたのですが、「不育症」治療がなぜか徐々に広がりつつあるようです。 不育症患者が増えている!? ーーつづき - FMC東京 院長室 不妊治療の末、妊娠出産に至ったという方のブログやフォーラムでの繋がりが、不妊・不育領域の新たな検査や治療につ…

なんでも「安静」「安静」っていうの、もうやめてもらえませんかね。切迫流産で安静と言われても当院の診療は受けられます。

もうね、本当にやめてほしいです。 自宅安静を指示されたから、受診できません。予約キャンセルしますっていうのが、けっこう多いんですが、そんなことでキャンセルしなくても良いから来てくださいって言いたいです。でも、かかりつけ医からそう言われたら、…

実はかなりハードルが高い人工妊娠中絶(後編)

前回(実はかなりハードルが高い人工妊娠中絶(前編) - FMC東京 院長室)の続きです。以下の2つについて言及していきます。 3. 受け入れ施設のハードル 4. 社会的ハードル 3. 受け入れ施設のハードル 妊娠12週までの人工妊娠中絶を扱う施設は数多くあるので…

実はかなりハードルが高い人工妊娠中絶(前編)

当院には、胎児にいろいろな問題が見つかって、出産を目指すか中絶するかなど、かなり悩まなければならない方やそのご家族が、日常的に来院されています。 そういう方々の悩みに対応していて常々感じることは、人工妊娠中絶はただでさえ悩ましいことなのに、…

クアトロテストは、はっきり言って微妙な検査です。

どうも最近、クアトロテストを受ける人が増えているんじゃないかと思っていたのですが、やはりそのようなのです。で、なぜそうなっているのかについて考えてみますと、以下のような理由が考えられます。 ・NIPTが行われるようになって、これがニュースになっ…

羊水穿刺は怖いことと思われてませんか?

染色体について確定的な検査結果を得ることができる羊水穿刺、当院では連日行なっているわけですが、この検査をお受けになる方の多くが、検査前から検査中にかけて、かなり緊張しておられるように感じています。まあ胎児がいる場所に針を刺し入れるわけなの…

超音波検査「所見」と「診断」の違いについて

ちょっと硬い(というか難しい)話題が続いたので、ここらで身近な診療の話題を。 超音波検査とその検査結果の説明をしていて、いつも難しいなと感じるのは、超音波で確認した「所見」について、どう伝えればどう理解してもらえるのかということです。 何し…

当事者の声を反映させることの難しさ。カミングアウトのハードルを下げられると良いのだろうか。

以前に、出生前検査についての主に医療従事者側の意識に触れた際に、過去の仕事を回想した記事を書きました。 出生前検査を普及させない方が良いという声に、癌告知の過去を想う。 - FMC東京 院長室 病気や障害を抱えながら生きる人々と、治療やサポートの提…

「命の選別」悪い人だけが、こっそりやっていたのでしょうか?

マスコミが言う、いわゆる“新型出生前診断” (NIPT) の話題が出ると必ず出てくる言葉である、「命の選別」。それではこの種の検査はこれまで行われてこなかったのでしょうか。 実際には、この検査が出てくる前にもいろいろな方法で、染色体異常をはじめとする…

「命の選別」という言葉によって、罪の意識を背負わされる妊婦さんたち

以前からずっと気になっていたことですが、マスコミが出生前検査・診断について記事にする際に必ず「命の選別」という言葉を用いることの問題点について、論考していきたいと思います。 「命の選別」をすることは良くない、「命の選別」につながる検査は良く…

日本産科婦人科学会がNIPT実施の指針見直しへ

本日、以下の記事が配信されました。毎日新聞の記事です。 topics.smt.docomo.ne.jp記事によると、日本産科婦人科学会では、NIPTについて現在臨床研究に限定している指針を見直し、検査を扱う施設を増やすことや対象疾患や年齢要件の緩和も段階的に検討する…

NIPTが普及すると、ダウン症候群の中絶は増えるのか

日本では、厳密に制限されて臨床研究が続いているNIPTですが、そうこうするうちに海外では多くの国で標準検査の位置付けで行われるようになっています。報道などでは常々「命の選別」のための検査という表現で批判的な語られ方をしているわけですが、本当に…

産科医療の現場でなぜかよく流布している間違った情報

前記事に続いて、当院に来院されたりお問い合わせいただいたりする中でよく聞かれる、気になる話について記載していきます。 ・NTが厚いと指摘された後に、しばらく後の再検査の方針になったり、クアトロテストを勧められたりする。 NT計測そのものもあまり…

医者によって言うことが違う産科診療。誰を信用したらいいの?

年明けから色々と忙しくしているうちに、あっという間に半月が過ぎてしまい、ブログ更新も止まったままになってしまっていました。その間にも多くの方々に受診していただき、いろいろな話を聞いています。本日は、日常診療で出会う疑問や問題点について、少…

胎児ドックを行う施設が増えているようですが、、

最近、「胎児ドック」を行う施設が増加傾向にあるようです。 ちなみに「胎児ドック」でググると、以前にはあまり聞いたこともなかったクリニックが出てきたり、昔からある産婦人科だけどここの先生、胎児超音波検査を専門にしてるひとだったっけ?という施設…

産婦人科のお医者さんは、もっと自信を持って堂々と診療してほしい。後編

妊婦健診を担当しているお医者さんたちが、外部の医療機関で同時に受けている検査や治療について、意外に無批判に許容しているということがわかってきました。これは特に行われている治療が独自のものである場合、また一見研究成果に基づいていると思える場…

産婦人科のお医者さんは、もっと自信を持って堂々と診療してほしい。前編

2017年の年末も押し詰まってまいりました。クリニックは昨日28日をもって本年の診療を終了し、昨夜は忘年会を執り行いました。年末年始、少し時間的余裕もできるので、ブログの更新も進めていきたいと思っています。 当院は、遺伝相談や遺伝学的検査と画像診…

コウノドリ第10話への反響と考えたこと

先日、TBS金曜ドラマ・コウノドリ 第10話について書きました。 コウノドリ第10話は、出生前診断の話題でした。 - FMC東京 院長室 ちょうど第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会開催中に放映されたということもあり、学会に参加していた多くの医師の感想を聞くこ…

NIPT 海外ではどうなっているのか -3

淡路島で開催された、第3回日本産科婦人科遺伝診療学会に参加しました。出生前診断、生殖医療から婦人科腫瘍まで、様々な話題について議論されたのですが、そんな中でNIPTを扱う検査会社のセミナーがあり、海外事情について触れていましたので、シリーズ3と…

コウノドリ第10話は、出生前診断の話題でした。

昨日、今日の2日間、淡路島で開催されていた、第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会に参加していました。この学会に関連していくつかの話題があり、追い追いアップしていきたいと思いますが、まずは一般の人たちにも馴染みやすい話題を。 実はこの「…