FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

出生前検査・診断

「中絶は早い方が良い」は本当か?

妊婦健診で、胎児に何らかの問題があると指摘されて当院に相談してこられる方の中で、以下のようなケースが散見されます。 ・胎児が小さい方が安全に中絶できるので、早くした方が良いと言われた。 ・中期中絶は危険なので、中絶するなら12週よりも前に何と…

胎児の染色体検査結果を得るのには、2〜3週間かかるというのは本当か

受診予約の問い合わせや、相談のメールをいただいたりする中で、以前から感じていたことの一つに、染色体検査を行うための羊水穿刺などが、あまり積極的に行われない傾向があることがあります。特に、「今から検査しても中絶には間に合わない」という説明や…

NIPT指針改定案の周知は十分か?

NIPTの改定案に対するパブリックコメントの募集。あと1週間で締め切られますが、その周知徹底は十分なのでしょうか。広い範囲からの意見が集められるでしょうか。 これに関して、甚だ疑問に感じさせられることがありました。 因みにパブコメの案内は以下↓ dr…

NIPT新指針で「基幹施設」となる現認定施設の態勢は十分なのか

NIPT新指針問題、発表当初のインパクトがなんとなく収まって、少し静かになっている感じがしていますが、毎日出生前検査・診断の現場で多くの妊婦さん達と向き合っている私たちは、毎日このことを意識しています。 この新指針案では、NIPT実施施設の幅を大き…

NIPTの指針改定問題に関連したマスコミ社説に感じる違和感

NIPTの指針改定問題。いろいろな意見が各種団体やマスコミ社説などで出てきていますね。 私自身も今回の日産婦が示した改定(案)には、いろいろと問題があると思っている一人なのですが、各種団体やマスコミが出している批判的な意見には必ずしも賛同できな…

東京逓信病院に『東京ダウンセンター』開設

当院からほど近い場所に、東京逓信病院があります。この病院の小児科部長・小野正恵先生は、長年にわたり、ダウン症候群の方たちの診療を行い、医師として、またときには伴走者として、いろいろな方たちと関わりを持ってこられました。そんな中で、ダウン症…

NIPT実施の新指針(案)の対案を作りました。

日本産婦人科学会(日産婦)からNIPTの新指針(案)が提示されて以来、連日のようにブログを更新しています。たいへんな危機感を持っています。 しかし、微妙に疎外感を感じるのは、私たちは一般的な議論(この検査を広げるべきなのか規制すべきなのかという…

日本産婦人科学会が、NIPT実施施設の改定案についてパブリックコメントを募集しています。

NIPT実施施設の改定案について、日本産婦人科学会がパブリックコメントを募集しています。 f.msgs.jp このリンクのページから、改定案に飛ぶこともできますが、ここにもリンクを貼っておきます。 https://fyu.cdn.msgs.jp/fyhu/fyu/shishin2019.pdf ぜひ一度…

日本ダウン症協会の意見表明

公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)が、以下のような文書を出しています。 3月1日付です。 NIPT指針改定をめぐる動きについて http://jdss.or.jp/project/20190301jds.pdf 大変わかりやすい解説です。 さすがにこの問題に当事者の立場で長年向き合ってこら…

ついに出た日産婦の指針改定案。そしてつまはじきにされる私たち。

昨年の10月に以下の記事を書きました。 混沌としてきたNIPT事情。どうする日本医学会、日本産科婦人科学会。 - FMC東京 院長室 それから7か月。 ついに日本産科婦人科学会が新たな指針(案)を出してきました。 以下、時事通信の配信記事です。 www.jiji.com…

『新出生前診断に施設拡大案、学会 研修受ければ可能に』という見出しの記事が出ました

マスコミ各社はNIPTの呼び名をこれまでの『新型出生前診断』から『新出生前診断』に変更する事にしたんでしょうか。まあそれはどうでもいいい話ですが、いい加減この『出生前診断』という言葉の誤用をやめてもらいたいものです。さて、表題の記事ですが、共…

胎児超音波検査を行う時期に、医師個人の価値観が反映されている。

ホームページをご覧になるとわかると思いますが、当院で設定している胎児超音波検査には、妊娠初期の超音波検査と妊娠中期の超音波検査があります。この二つは、海外で行われている検査に照らして言うと、前者が、第1三半期の検査(First trimester screenin…

年頭所感:ある枠組みにまとめて同一視してしまうのはもうやめよう

皆さま、新年あけましておめでとうございます。 クリニックは、4日より診療を開始しました。 年末年始を脈絡なく過ごしたために、大事な執筆作業が思うようにはかどらなかったので、ブログの更新も途切れ途切れになりますが、年頭にあたって、このところ考え…

NIPTについて、日本医学会として今後どうするつもりなのか、全く見えてこない年越し 〜 つづき

昨夜は酔いに任せて、やや文章が乱暴になってしまいましたが、一夜明けてまだ書ききれていないところがあるので、続きを書きます。 昨日もひっかかった、『妊婦が十分な認識を持たず』『意義について妊婦が誤解する』という部分、ほんとうに嫌な感じがするん…

NIPTについて、日本医学会として今後どうするつもりなのか、全く見えてこない年越し

私たちのクリニックは、本日が2018年の仕事納め。診療を終えて大掃除、その後忘年会で、明日からは休みに入ります。 まずはゆっくり休んで、また年明けから心機一転頑張ろう!と思っていた矢先、、、 日本産科婦人科学会と日本周産期・新生児医学会からお知…

日本医学会認定施設の先生、冷たくあしらわないで。

前回、「次はへその緒の話をしようと思います。」と書いたのですが、前にこの記事を書いてあったのを発見しました。 drsushi.hatenablog.comこれ、昨年10月に書いたんですが、今も同じこと毎日のように言われます。へその緒が絡まるって、イメージしやすいん…

優秀演題賞受賞 NTが厚いケースについての調査研究で

先日開催されました、第136回関東連合産科婦人科学会学術集会において、発表した演題『高度なNuchal translucencyの肥厚を呈したケースの転帰』が、多くの演題の中から周産期部門の優秀演題賞に選出されました。この学会は、日本産科婦人科学会の地方会の一…

尻拭いをしているのは、無認可施設だけではない。ー NIPT認可の問題点

これまで、このブログでは、NIPT(いわゆる、新型出生前診断)を認可外で行なっている施設の問題点について、言及してきました。 drsushi.hatenablog.com この記事の中で、私たちはそういった施設の尻拭いをしているという忸怩たる思いについて記載しました…

産科のお医者さんたち、自分の価値観を普遍的なものだと勘違いしていませんか

当院に相談に来られる妊婦さんたちは、普段は別の産科医療機関で妊婦健診を受けておられますので、本当に色々なお医者さんがおられるものだなあと思わせるエピソードを伺うことがあります。そんな中で最近気になった話をいくつかします。 ある40歳を過ぎた妊…

その診療方針、本当に熟考して決めましたか? 平気な顔で選択肢を奪っている自覚はありますか?

先日当院を受診された方から、ちょっと気になる話をききました。 この方は、妊娠したので受診した病院で、初診時の問診票に、胎児に障害があるかどうか心配なので、受けられる検査があれば受けたいと言ったような内容を記入しました。これを見た医師から、「…

NIPTを扱う施設が林立してきましたが、どのように検査を扱っているのでしょうか?(ちゃんとやってるのか?)

NIPTの現状について問題提起する以下のブログ記事を書いたところ、それなりの反響をいただきまして、たいへんありがたいことと思う反面、まだまだ影響力は小さくて、肝心のところには届いてないなあと感じる今日この頃です。 drsushi.hatenablog.comこれを出…

妊婦健診のときに、「NTはどうですか?」「むくみはありませんか?」などと聞いてはいけない。

出生前検査・診断についての話題がマスコミなどで取り上げられることが増えるとともに、妊娠した人が胎児の状態を知ることに関心を持つことが増えてきました。ただ、残念なことは、一般の人たちが持っている関心ほど実際に妊婦健診を行なっている医師たちは…

ISUOG 2018 国際産科婦人科超音波学会学術集会で感じた、日本だけが取り残されてしまう危機感

2018年10月20日土曜日〜24日水曜日に渡ってシンガポールで開催されていた、国際産科婦人科超音波学会の学術集会ISUOGに参加して来ました。 今年の学会では、私がベルギー留学時代にお世話になったProf. Jan Deprestが、産婦人科超音波分野に貢献した人物に贈…

出生前検査の実施について管理する立場の医師は、もっと謙虚かつ寛容であるべき - 日本人類遺伝学会に出席して

先週末、日本人類遺伝学会第63回大会と、それに引き続いて行われた全国遺伝子医療部門連絡会議に出席してきました。 ここで話題にしている問題に最も関連しているプログラムとして、『シンポジウム20 5年間の臨床研究から見えてきたNIPTの現状と将来への提言…

混沌としてきたNIPT事情。どうする日本医学会、日本産科婦人科学会。

先日、うちのスタッフがこんなサイトを見つけました。ここで紹介すると宣伝になるので、本当はリンク貼りたくないのですが、見ないとわからない部分もあるので、貼ります。 出生前診断におすすめの東京のクリニック5選【染色体検査等に対応】 このサイトはラ…

受診者さんからの手紙:ヤコブセン症候群を持つ子のお母さんより

先日、当院で検査をお受けになったのちに、赤ちゃんを出産された方から、感謝のお手紙をいただきました。このようなお手紙は、スタッフ皆にとって大変励みになります。 この方は、5年前に出産された男の子に、『ヤコブセン症候群』という希少な染色体微細欠…

前途多難。(どうすればこの国の出生前検査の現状が改善できるのだろうか)

もう8月も終わりに近づいてきたわけですが、また暑さがぶり返してきて、体力を消耗する日々です。そんな中、最近たてつづけに悪い意味で驚くべき相談事例があり、気力まで消耗しそうになっています。もう本当にこの国は今後大丈夫なのか、この国でやっていけ…

考え方は人それぞれ。自分基準で決めてもらっていいんですが、、、

カタい話が続いたので、ここらで少し日常の話題を。と言っても、どうも私の文章自体がカタイのか、「ブログを読んだんですが、難しくって、、」という感想をいただくことがけっこう多いので、反省してます。(と言いつつ、今後もクソ真面目に続けるつもりで…

遺伝カウンセリングは中絶の歯止めではない。

少し古い記事(1ヶ月ほど前のもの)なのですが、ちょっと気になる記載があって、このブログで取り上げなければとメモしておいたものがあります。以下の記事です。 学会、新出生前診断指針見直しへ 年度内に意見取りまとめ - 共同通信 2018年6月23日配信 this…

第54回日本周産期・新生児医学会 違和感の正体が少し見えてきた - 2

7月8日〜10日に開催された、日本周産期・新生児医学会の話題の続きです。 この学会は、もともとは日本新生児医学会という名称の学会でしたが、新生児管理の話題だけでなく、新生児が生まれる前段階である周産期管理の話題もテーマとなり、周産期の話題を中心…