出生前検査・診断
ACOG(米国産科婦人科学会:正確には「学会」というより日本の「産婦人科医会」に近いか)とSMFM(米国の母体・胎児学会:よく米国周産期学会と訳されている)が共同で出している、『胎児染色体異常スクリーニングのガイドライン』が、更新されました。前回…
以前から何度も問題にしていることですが、当院ではNIPTを扱うことができません。学会の指針に基づいた、実施施設としての認定が得られないからです。 産婦人科専門医かつ臨床遺伝専門医:2名 小児科医かつ臨床遺伝専門医:1名 認定遺伝カウンセラー:2名 日…
つい先日、読売新聞の医療・健康・介護サイト・yomiDr.(ヨミドクター)に、以下の記事が掲載されたことをYahooニュースで知りました。この記事、結構反響があったようで、twitterでも言及されているのを見かけましたし、コメント欄にもたくさんのコメントが…
出生前検査/診断という言葉に対する一般的なイメージは、どういうものなのだろうと時々考えます。『出生前診断』というと、染色体異常を見つける検査としか思っていない人も多いという話を聞きますし、すぐに『命の選別』という言葉に結びつけてしまう人も…
今回は、遺伝カウンセリングに関する誤解について取り上げます。 以下の記事の中にも書きましたが、遺伝カウンセリングの中で『親になる責任』について理解してもらうということが新聞記事に書かれていました。 NIPTの調査等に関するワーキンググループ(第4…
つい先日、妊婦や胎児の診療を行ったことなどないような人たちがNIPTを商売のタネにしていることについて記事を書きましたが、そういう施設が大々的に宣伝を行うのに使っているパンフレットを目にしました。これがまた酷いので、ここで取り上げたいと思いま…
前記事で、学会認定されていないNIPT実施施設の問題点について取り上げましたが、今回は返す刀で施設認定の問題点を斬りたいと思います。この問題点については、以前から何度も語っていますし、指針にもまだまだたくさんのツッコミどころがあるのですが、今…
新型コロナの蔓延がおさまらず、厚生労働省もどう対処するのか未知数の中、少し前に学会未認定施設の問題がマスコミにも取り上げられていたようですので、思うところを書き記しておきたいと思います。 去る8月2日に共同通信が配信(翌3日に更新)した記事で…
あいかわらず胎児に「むくみ」があると指摘されたという相談がよく来る中、「海外のデータばかりでなく、自分たちのデータもちゃんと示して説明に使えるようにしたい。」と思っていたわけですが、学会発表したものをようやくまとめることができ、論文として…
本日書く内容は、NIPTの話ではありません。検査を受ける/受けないは、自由意志で決定すべきことであり、それぞれの人が自分にとって必要なのか否かを判断できるようにサポートするところに、カウンセリングの役割があります。時に、NIPTの現場(“遺伝カウン…
厚生労働省が行っている、NIPTの調査等に関するワーキンググループの第4回が、2020年7月22日に開催されました。第3回(1月22日開催)から間隔が開いて、半年ぶりの開催です。今回は、会場での傍聴はなく、YouTubeでのライブ配信となりました。以下に資料が公…
昨年、権威ある国際学会から発表された、羊水検査・絨毛検査の安全性に関する、最も新しい評価について、おしらせします。 学会の指針や厚生労働省の対応など、いまだにスッキリしない(『新型出生前診断』と称されることの多い)NIPTですが、皮肉なことに、…
最近、学会に認定されていないNIPT実施施設(いわゆる『無認可施設』)で検査を受けた結果、21番、18番、13番以外の染色体のトリソミー陽性との結果が出たという相談が、連続してありました。この場合、少し難しい問題があるのですが、こういう結果を受け取…
先週末に急に動いた感のある、NIPT(俗にいう“新型出生前診断”)の指針の改訂と複数学会の容認の話題ですが、関係各所に聞いて回ったところ、経緯が少しわかりました。 このブログで今月はじめに出した以下の記事、私が愚痴っている間に水面下ではいろいろと…
昨夜、突然、ニュースが舞い込んできました。 なんと、日本小児科学会と日本人類遺伝学会が、日産婦の“新指針”を容認すると言うのです。これまでの経緯を知る身としては、にわかに信じがたいこのニュース、一体何が起こっているのかと思っていたところ、今朝…
2020年6月17日水曜日に、「NIPTのよりよいあり方を考える有志」(呼びかけ人:齋藤有紀子・柘植あづみ)が、「NIPTのよりよいあり方に関する提言」を、関係する行政機関および学会などに送付しました。 以下のサイトに、趣旨説明および提言の全文掲載があります…
先日来、新型コロナウイルス感染を調べる目的でのPCR検査の行われている件数や体制のあり方など、マスコミで話題になることが多く、検査の拡充を求める声が上がっていたようですが、医療関係者の側では慎重論も多く、TVなどでの情報拡散に対しては問題の本質…
なぜかここ最近、妊娠中期の血清マーカー検査(クアトロテスト 、トリプルマーカー検査など)についての相談事が連続しました。このような現象は、おそらく日本だけのことではないかと思われます。こんな事が今起こっていると海外の専門家が聞いたら、不思議…
このブログでは、これまで、出生前検査・診断及びその周辺事情を中心に、基本的に真面目に真摯に語る姿勢を貫いてきました。(途中、NIPTの施設認定・登録部会とのやりとりなど、バトルの報告をする場になることも想定していたのですが、完全に肩透かしを喰…
先日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が解除されましたが、東京などでは7週間に及んだこの期間に、人々の働き方は大きく変化しました。私たち医療従事者は、日常診療など臨床業務は維持しましたが、学術集会や研究会などの学術活動は、人が集…
ジワジワとではあるものの、地道に真面目に診療を続けてきた結果、一般の方からも医療関係者の方からも、出生前検査・診断に関連する相談を受けることが増加しつつあります。そんな中、最近増えてきているものとして、出生前診断のみならず着床前診断の可能…
その1、その2では、NIPTについて、もともと頻度の低い疾患を対象にした場合には、陽性的中立は高くはならないことについて、解説してきました。そして、もしこの検査で陽性判定が出た場合に、その後の確定検査の問題についても言及しました。その先の、診断…
その1では、疾患の頻度(事前確率)が低い場合、検出感度が高い検査であっても、陽性的中率はそれほど高くはならないという話をしました。 さて、では認定外NIPTクリニックでは当たり前のように行われている、微細欠失症候群の検査ですが、これらの疾患はい…
前回は、疾患の頻度(事前確率)が低い場合、検出感度が高い検査であっても、陽性的中率はそれほど高くはならないという話をしました。 このあたりがよくわかっていないと、単純に『精度』が高い検査という名目で、なんでも当たるように思われてしまいがちな…
以前にも取り上げた問題なのですが、出生前検査の専門施設として、日夜さまざまなケースと向き合っていると、現在、本来は出生前の胎児や先天性の疾患についてのいろいろなこと、染色体や遺伝の問題などについて、ほとんど扱ったこともないような専門外の医…
国内でも感染者数の増え続けている新型コロナウイルス。最近の報告では、このウイルスの感染力は、発症前後の時期に強いということがわかったきたようで、つまり症状が明らかになる少し前から人に感染させる可能性がかなりあるということになります。つまり…
前記事↓で公開した文書への反論です。 drsushi.hatenablog.com本当は、返信を送って議論を続けたいのですが、前記事にも記載したように、既に議論の相手がいませんので、本当にやり場のない気持ちを込めて、せめてここで吐き出させてもらおうかというところ…
表題のように、返事が届きました。 この書類、1月20日付なのに、届いたのが3月4日なんです。このタイムラグは何だったのでしょう?どなたか、3月2日にアップした私のブログ記事を読んで、慌てて送ってきたのでしょうか? 何を隠そう、3月4日は私の誕生日だっ…
世の中、新型コロナの話題で持ちきりで、厚生労働省もこれにテンテコ舞いなことと思いますが、NIPT方面はどうなってるんでしょうかねえ。 まあ調査が行われているようなんですが、これがどれほど有効なものなのか、結局どういう結論に持っていきたいのか、大…
先日、宮城県立こども病院産科科長/東北大学大学院医学研究科教授併任の室月淳医師が、この度上梓された、『出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」』(集英社新書)が、届きました。 彼は、常日頃から連絡を取り合って、情報交換したり議論を交…