FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

NIPT

NIPT指針改定案の周知は十分か?

NIPTの改定案に対するパブリックコメントの募集。あと1週間で締め切られますが、その周知徹底は十分なのでしょうか。広い範囲からの意見が集められるでしょうか。 これに関して、甚だ疑問に感じさせられることがありました。 因みにパブコメの案内は以下↓ dr…

NIPT新指針で「基幹施設」となる現認定施設の態勢は十分なのか

NIPT新指針問題、発表当初のインパクトがなんとなく収まって、少し静かになっている感じがしていますが、毎日出生前検査・診断の現場で多くの妊婦さん達と向き合っている私たちは、毎日このことを意識しています。 この新指針案では、NIPT実施施設の幅を大き…

NIPTの指針改定問題に関連したマスコミ社説に感じる違和感

NIPTの指針改定問題。いろいろな意見が各種団体やマスコミ社説などで出てきていますね。 私自身も今回の日産婦が示した改定(案)には、いろいろと問題があると思っている一人なのですが、各種団体やマスコミが出している批判的な意見には必ずしも賛同できな…

NIPT実施の新指針(案)の対案を作りました。

日本産婦人科学会(日産婦)からNIPTの新指針(案)が提示されて以来、連日のようにブログを更新しています。たいへんな危機感を持っています。 しかし、微妙に疎外感を感じるのは、私たちは一般的な議論(この検査を広げるべきなのか規制すべきなのかという…

日本産婦人科学会が、NIPT実施施設の改定案についてパブリックコメントを募集しています。

NIPT実施施設の改定案について、日本産婦人科学会がパブリックコメントを募集しています。 f.msgs.jp このリンクのページから、改定案に飛ぶこともできますが、ここにもリンクを貼っておきます。 https://fyu.cdn.msgs.jp/fyhu/fyu/shishin2019.pdf ぜひ一度…

日本ダウン症協会の意見表明

公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)が、以下のような文書を出しています。 3月1日付です。 NIPT指針改定をめぐる動きについて http://jdss.or.jp/project/20190301jds.pdf 大変わかりやすい解説です。 さすがにこの問題に当事者の立場で長年向き合ってこら…

ついに出た日産婦の指針改定案。そしてつまはじきにされる私たち。

昨年の10月に以下の記事を書きました。 混沌としてきたNIPT事情。どうする日本医学会、日本産科婦人科学会。 - FMC東京 院長室 それから7か月。 ついに日本産科婦人科学会が新たな指針(案)を出してきました。 以下、時事通信の配信記事です。 www.jiji.com…

『新出生前診断に施設拡大案、学会 研修受ければ可能に』という見出しの記事が出ました

マスコミ各社はNIPTの呼び名をこれまでの『新型出生前診断』から『新出生前診断』に変更する事にしたんでしょうか。まあそれはどうでもいいい話ですが、いい加減この『出生前診断』という言葉の誤用をやめてもらいたいものです。さて、表題の記事ですが、共…

NIPTについて、日本医学会として今後どうするつもりなのか、全く見えてこない年越し 〜 つづき

昨夜は酔いに任せて、やや文章が乱暴になってしまいましたが、一夜明けてまだ書ききれていないところがあるので、続きを書きます。 昨日もひっかかった、『妊婦が十分な認識を持たず』『意義について妊婦が誤解する』という部分、ほんとうに嫌な感じがするん…

NIPTについて、日本医学会として今後どうするつもりなのか、全く見えてこない年越し

私たちのクリニックは、本日が2018年の仕事納め。診療を終えて大掃除、その後忘年会で、明日からは休みに入ります。 まずはゆっくり休んで、また年明けから心機一転頑張ろう!と思っていた矢先、、、 日本産科婦人科学会と日本周産期・新生児医学会からお知…

日本医学会認定施設の先生、冷たくあしらわないで。

前回、「次はへその緒の話をしようと思います。」と書いたのですが、前にこの記事を書いてあったのを発見しました。 drsushi.hatenablog.comこれ、昨年10月に書いたんですが、今も同じこと毎日のように言われます。へその緒が絡まるって、イメージしやすいん…

NIPTを扱う施設が林立してきましたが、どのように検査を扱っているのでしょうか?(ちゃんとやってるのか?)

NIPTの現状について問題提起する以下のブログ記事を書いたところ、それなりの反響をいただきまして、たいへんありがたいことと思う反面、まだまだ影響力は小さくて、肝心のところには届いてないなあと感じる今日この頃です。 drsushi.hatenablog.comこれを出…

出生前検査の実施について管理する立場の医師は、もっと謙虚かつ寛容であるべき - 日本人類遺伝学会に出席して

先週末、日本人類遺伝学会第63回大会と、それに引き続いて行われた全国遺伝子医療部門連絡会議に出席してきました。 ここで話題にしている問題に最も関連しているプログラムとして、『シンポジウム20 5年間の臨床研究から見えてきたNIPTの現状と将来への提言…

混沌としてきたNIPT事情。どうする日本医学会、日本産科婦人科学会。

先日、うちのスタッフがこんなサイトを見つけました。ここで紹介すると宣伝になるので、本当はリンク貼りたくないのですが、見ないとわからない部分もあるので、貼ります。 出生前診断におすすめの東京のクリニック5選【染色体検査等に対応】 このサイトはラ…

検査を規制しようという発想は、どこから出てきて何が間違っているのか。

5月21日の記事の最後で予告していたテーマについて、ようやくまとめる時間ができました。6月の頭に、二つの学会(日本家族性腫瘍学会と日本超音波医学会)の学術集会がいずれも神戸で開催され、前者は当院の田村が会長という大役でしたし、後者でも私が座長…

某無認可クリニックの全染色体検査:わかってやってるんでしょうかねえ

前回エントリーの最後に、次は検査を規制するという考えのどこが間違っているかについての論考を行うと予告し、途中まで文章を書き始めていたのですが、最近診療の場で気になるケースが連続したので、先にそれについて書きたいと思います。 私のクリニックに…

NIPT:臨床研究の終了の話は進んでいるのでしょうか?

日本産科婦人科学会臨時総会・学術集会が終了して1週間がたち、産婦人科医療の現場も落ち着きを取り戻している気配の今日この頃です。話題に上っていたNIPTの臨床研究の終了については、産婦人科学会では決定事項として日本医学会に投げられ、約1ヶ月で結論…

日本産科婦人科学会に参加して - 親近感と疎外感

先週末、日本産科婦人科学会第70回学術講演会に参加してきました。同時開催された臨時総会には残念ながら参加できませんでした。(なお、私は以前の大学勤務時代には代議員を務めていましたが、いまはヒラ会員です。)今回は、東北大学の八重樫教授が会長を…

NIPT(新型出生前診断)、今後の実施体制は?

先日、NIPTに関するニュースについて言及したところ(日産婦、“新型出生前診断”を一般診療として実施する方針 - FMC東京 院長室)ですが、この件についてはいろいろなところで話題になっていて、少し注目されてきているようですね。2日前にも、以下のような…

クアトロテストは、はっきり言って微妙な検査です。

どうも最近、クアトロテストを受ける人が増えているんじゃないかと思っていたのですが、やはりそのようなのです。で、なぜそうなっているのかについて考えてみますと、以下のような理由が考えられます。 ・NIPTが行われるようになって、これがニュースになっ…

日本産科婦人科学会がNIPT実施の指針見直しへ

本日、以下の記事が配信されました。毎日新聞の記事です。 topics.smt.docomo.ne.jp記事によると、日本産科婦人科学会では、NIPTについて現在臨床研究に限定している指針を見直し、検査を扱う施設を増やすことや対象疾患や年齢要件の緩和も段階的に検討する…

NIPTが普及すると、ダウン症候群の中絶は増えるのか

日本では、厳密に制限されて臨床研究が続いているNIPTですが、そうこうするうちに海外では多くの国で標準検査の位置付けで行われるようになっています。報道などでは常々「命の選別」のための検査という表現で批判的な語られ方をしているわけですが、本当に…

コウノドリ第10話への反響と考えたこと

先日、TBS金曜ドラマ・コウノドリ 第10話について書きました。 コウノドリ第10話は、出生前診断の話題でした。 - FMC東京 院長室 ちょうど第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会開催中に放映されたということもあり、学会に参加していた多くの医師の感想を聞くこ…

NIPT 海外ではどうなっているのか -3

淡路島で開催された、第3回日本産科婦人科遺伝診療学会に参加しました。出生前診断、生殖医療から婦人科腫瘍まで、様々な話題について議論されたのですが、そんな中でNIPTを扱う検査会社のセミナーがあり、海外事情について触れていましたので、シリーズ3と…

コウノドリ第10話は、出生前診断の話題でした。

昨日、今日の2日間、淡路島で開催されていた、第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会に参加していました。この学会に関連していくつかの話題があり、追い追いアップしていきたいと思いますが、まずは一般の人たちにも馴染みやすい話題を。 実はこの「…

不便を強いられる妊婦さんのケースから、日本の現状について考えてみる。

当院には、いろいろな相談や問い合わせが来るのですが、先日以下のようなケースがありました。 ・かかりつけのクリニックで双胎妊娠(ふたご)であることがわかる。 ↓ ・ここでは管理が難しいと、少し大きい病院(総合病院)を紹介され、受診。 ↓ ・そこでも…

NIPT 海外ではどうなっているのか -2

NIPTの海外事情、今回はイギリスの状況報告です。 以下の記事は、現在LondonにあるFetal Medicine Foundationの総本山・King's Collage Hospitalで、Prof. Nicolaidesの元、修行を積んでいる、林 伸彦医師からいただいた情報を元にまとめています。林医師は…

NIPT 海外ではどうなっているのか -1

NIPT (Non-Invasive Prenatal Testing) は、日本医学会をはじめとした学会などの学術的な場では、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」と表現されることが一般的なのですが、なぜかマスコミなどは、「新型出生前診断」と表示しています。この時点で既にミス…

たいへん勉強になりました。世界産科婦人科超音波学会。ー これからの超音波検査はどうなっていくのか。

ウィーンで開催されていた世界産科婦人科超音波学会、本日が最終日でした。いつもながら刺激的な学会で、世界のエキスパートが出してくる超音波画像の素晴らしさは、目を見張るものでした。診断専門施設を運営する立場としては、同等のレベルを実現し、且つ…

日本産科婦人科学会が妊婦さんに呼びかけた「お知らせ」、何が問題か。(1)

前回記事で取り上げました、平成29年8月26日付で出された「お知らせ」、 「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)」を受けることを考えている妊婦さんへ の問題点について、記載しておきたいと思います。 もう一度、内容のおさらいです。 安心して…