FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

日本産婦人科学会が、NIPT実施施設の改定案についてパブリックコメントを募集しています。

NIPT実施施設の改定案について、日本産婦人科学会がパブリックコメントを募集しています。

f.msgs.jp

このリンクのページから、改定案に飛ぶこともできますが、ここにもリンクを貼っておきます。

https://fyu.cdn.msgs.jp/fyhu/fyu/shishin2019.pdf

ぜひ一度目を通していただけると良いと思います。

私がこの改定案を読んで感じる違和感については、昨日挙げました記事を読んでいただけるとありがたいです。

drsushi.hatenablog.com

NIPTにもっと多くの妊婦さんたちが障壁なくアクセスできるようになること自体は、悪いことだとは思っていません。むしろより積極的に産婦人科医が扱えるようにするべきだとは思っていました。しかし、なぜ分娩施設でなければいけないのか。分娩施設なら簡単な講習を受けるだけで良しとされ、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーがいずれも複数在籍している専門施設であっても分娩を扱っていなければ認可されないというのはどういうことか、全く理解ができません。

この点について、意見公募の設問内に簡単な説明がありました。以下のように記載されています。

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 今回の改定案では、この検査を実施できるのは分娩施設限定で考えています。これは検査で問題が発見された場合、羊水検査や絨毛検査という専門的検査が追加で必要なため、それが可能かつ妊娠経過を見守ることができる施設で行う方が良いと考えるからです。

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日本産科婦人科学会の理事会の先生方は、羊水検査や絨毛検査を行ったり、妊娠経過を見守ったりするためには分娩施設でないとできないとお考えなのでしょうか。

当院では羊水検査、絨毛検査ともに年間100件を超える数行っています。妊娠経過については、これまで通院しておられた産科施設や当院から紹介した分娩施設と連携して、ずっと見守っています。

なぜ分娩施設限定なのか、この説明では全く理由になっていないと感じます。

ブログ読者の皆様には、ぜひこのパブリックコメントにご意見を送っていただけるとありがたいと思います。