FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

専門的知識を必要とする検査を、専門家ではない医師が扱うべきではない。

現在議論になっている、NIPT(母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査)の扱い。常に話題の中心となっているのは、遺伝カウンセリング体制の充実の必要性であるように見受けられます。もちろんこれは大事なことなのですが、それ以前に、検査結果がどのよう…

この国では、出生前検査・診断の普及度は、まだまだ低いレベルにとどまっている - アンケート調査結果から考える

昨年10月にジャーナリストの河合蘭さんとベビカム株式会社が行った共同インターネット調査『出生前診断にニーズに関するアンケート』の結果が、昨年末にプレスリリースされました。 出生前診断について妊婦はどう考えている?調査で分かった、判定結果に対す…

2021年、年頭にあたって。 当院の強み・長所はなんだろう。 - 表に出ない仕事について

みなさま、新年あけましておめでとうございます。 昨年は、新型コロナウイルスに振り回された一年でしたが、今年はどうなるでしょうか。年頭にあたり、今年どういう姿勢でことにあたるべきか、考えてみたいと思います。例年ですと、それほど明確ではないにし…

今年一年を振り返って(後半) 二人の恩師の話

振り返ってみると今年前半は、何か活路を見出せないかという気持ちがそれでも強かったように思います。しかし、後半はもう本当に日々をこなすだけだったような感じがします。やはりコロナ感染の影響が大きかったですね。 リモートになった学会 例年なら秋に…

今年一年を振り返って(前半)

今年の当院の診療は本日が最終日です。 私はわりといつも淡々と日々を送っていて、節目節目に何か総括するとか、将来計画を立てるとかといった作業がどちらかと言えば苦手な方なのですが、今年はさすがに特別な年だったように思うので、来年に向けてここで振…

NIPTに関する議論の場で、出生前検査の全体像や実情が見えているのだろうか。

12月16日水曜日に、NIPT等の出生前検査に関する専門委員会(第3回)が開催されました。ZOOMによるライブ配信があったのですが、私自身は診療業務の合間に見る準備をしていたものの、実際に視聴することができたのは、会議最終盤のもうほとんど「これにて終了…

出生前診断をめぐる『ねじれ構造』 - 中絶と言いたくない産婦人科医と産婦人科医はすぐ中絶を勧めると思っている小児科医

日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が協力して認定制度を管理している『臨床遺伝専門医』の認定試験が行われています。今年は、ロールプレイ面接がZOOMを用いたweb開催となりました。今後は、現実の遺伝カウンセリングでもこの形が定着していくの…