FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

無認可NIPT施設は、誰のために検査を行なっているのか。

このところブログの更新の進みが悪く、またしばらくぶりとなってしまいました。実は、NIPTを含む出生前検査の新たなしくみを厚生労働省主導で作ろうとしている件に関して執筆していたのですが、22年前の厚生省課長通知のあたりから振り返っていろいろ頭を整…

「どんな子でもきちんと産んで育てたい。」と考えている人にとって、「出生前検査は受けない。」という方針は、はたして正しい選択なのだろうか。

当院での超音波検査の質と、カウンセリング体制、医療連携への取り組みをご評価いただいて、いろいろな医療機関から診療依頼がくることは、たいへん嬉しいことです。地道に続けてきたことが、大学病院を含む多くの施設のお医者さん達から、高くご評価いただ…

「出生前検査に対する見解・支援体制について」課長通知が各自治体宛に発出されました。

6月9日付で、厚生労働省子ども家庭局母子保健課長および社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長名で、各自治体(都道府県、市町村、特別区)母子保健主管部(局)長および障害保健福祉主管部(局)長宛に、「出生前検査に対する見解・支援体制について」(…

日本の妊婦さんにもっと知ってほしい事実2:切迫流産と流産とはほとんど関係がない!?

出生前検査・診断についての思いが強すぎて、そういう話題ばかり書いてきましたが、産科医として気になっているこの国の妊婦診療の問題は、他にもあるのです。そういうものも取り上げていきたいと思います。 当院では、以前より妊娠初期の胎児超音波検査を国…

『妊婦の不安や悩みに寄り添う適切な遺伝カウンセリング』への違和感

前記事で、遺伝カウンセリングの捉えられ方に関連して、次回記事にすると予告していました。最近、気になった受診者さんの発言もあり、少し整理してみたいと思います。 前記事では、厚労省の専門委員会でまとめられた文書に、「日本産科婦人科学会の指針に定…

『NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書』を読んで ー その1

2021年5月19日、第121回厚生科学審議会科学技術部会が開催されました。審議事項の議題3として、「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の報告書について議論されました。 この会議の資料として、議題3については、以下の二つの資料が提出されています。 …

NIPT実施施設の認定基準は再考が必要:認定施設と認定外の施設との違いは、遺伝カウンセリング体制にあるという自己満足はやめるべき

GWは、新型コロナウイルス蔓延の件で頭がいっぱいで、本業への集中力さえ削がれかねない心理的状態です。そんな中でも、妊娠・出産に臨む人は確実に存在するし、なんとかこの事態を乗り越えて、元気な赤ちゃんを産んでほしいと心より願っています。 ただでさ…