FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

2016-12-01から1日間の記事一覧

「『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査』についての共同声明」について(2016年11月25日)

平成28年11月2日、日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会その他が、『「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての共同声明』を発表しました。http://www.jspnm.com/topics/data/topics20161114.pdf これは、この検査に関する日本産科婦人科…

出生前診断についての誤解(2016年11月17日)

当院で妊娠中期の超音波検査を受けることを検討しておられる方や、すでに予約されている方が、ご本人でお考えになって、あるいは周りの人から言われて検査を受けないことを選択される、あるいは予約をキャンセルされるときに、「何か問題が見つかっても、も…

胎児はまだまだ発達途上(2016年10月31日)

当院では、妊娠11週から13週に胎児の超音波検査をおこなっていますが、この時期にはすでに胎児の体の大まかな形は出来上がっていて、人の形になっています。診察室のモニタで画像をご覧になった妊婦さんやご家族は、人の形で動き回っているのを見ると、すっ…

NIPTを行うための指針とは?(2016年10月25日)

日本医学会などの指針に反して、新型出生前検査(NIPT)を行っている施設が現れたと言う報道が出てきています。当院受診を検討しておられる方々は特に関心をお持ちの話題ではないかと思われます。しかし、多くの方々は、一体どのような指針に基づいてこの検…

超音波では何がどう見えているのか?(2016年10月8日)

私たちは、胎児の観察の時に、できるだけリアルタイムでわかっていただけるよう、解説を加えながら超音波検査をおこなっています。そのときによく、以下のようなことを聞かれます。 医師「これは胎児の頭の部分を見ているんですよ」受診者またはご家族「これ…

胎児ドックについて3(2016年8月2日)

「胎児ドック」の名称で行われている検査は、ほぼ全てが超音波診断装置を用いた胎児の観察です。そして、どの時期に、胎児のどの部分について、どこまで細かく観察するか、ということについては、これを行う施設によって違いがあります。一定の基準に基づい…

胎児ドックについて2(2016年7月31日)

「胎児ドック」というのは、どのような診療を指しているのでしょうか。多くは、超音波診断装置を使って、普段の妊婦健診のときよりも時間をかけて、胎児を詳しく見るというものを、こう呼んでいるようです。わが国の妊婦健診は、毎回超音波を使用している施…

胎児ドックについて1(2016年7月30日)

以前から何度かお伝えしていることですが、当院では「胎児ドック」という名称での検査は行っておりません。しかし、多くの方が問診票の受診目的に、「胎児ドックを受けたい」と記載されます。このことから、「胎児ドック」という言葉がかなり浸透しているこ…

3D / 4D 超音波について(2016年3月8日)

多くの方が、3D/4D超音波を用いたほうが、一般診療の場で使用されることの多い2D超音波による観察よりも、より詳しく観察することができているとお考えになっているようです。しかし、それはちょっと違います。このポストでは、この誤解について述べたいと思…

公開シンポジウム NIPT現状と今後 2015年11月23日

2015年11月25日の記事 公開シンポジウム出席後の感想です。 一昨日おこなわれた公開シンポジウムに、中村・田村の2名が出席しました。このシンポジウムの中心テーマとなっているNIPTは、残念なことに当院では行うことができません。しかし、当院の遺伝カウン…

超音波検査は、正常・異常を判別しているのか?(2015年8月26日)

まずは、これまでにFacebookページ上で書きためてきたコラムなどをこちらに再掲していきたいと思います。はじめは、昨年8月26日(開院して2週頃)の記事です。 超音波検査をうけて、何かを指摘された場合、それが異常を見つけたことになるのかについての誤解…