FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

誰のための先送り?妊婦不在、専門医不在の議論で進んでいくこの国の出生前検査は大丈夫なのか。

昨日から連続して記事をあげていますが、いろいろな情報も入ってきていて、NIPTの件が頭の中のほとんどを占め、落胆で潰れそうになりつつ、診療を頑張っています。 もう一度新指針に目を通してみました。それにしても長々といろいろ決め事があるものですね。…

日本の妊婦には、「知る権利」が保障されていない!? 指針に見る彼我の違い。

新指針の中の記載には気になるもの(ツッコミを入れたくなるもの)が多くあるのですが、特に引っかかる文言がありましたので、今回はこの記述に焦点を当てたいと思います。それは、[6]NIPTに対する医師、検査会社の基本的姿勢です。ここには、こう書かれて…

NIPTの議論のなかに透けて見える本音。解説しましょう。(1) まずは歴史的流れから

今回の日産婦の発表を受けて、新指針や各学会の声明など、もう一度読み直してみたりしているのですが、こういった医学・医療の世界の人たちがどのように考えているのか、一般の方々には今ひとつわかりにくいのではないかと思います。みんな尤もらしい内容を…

学会同士のいがみ合いで重い腰を上げた厚労省。どのような審議が行われるのでしょうか。

さて、昨夜のNHKニュースです。 厚生労働省は、日本小児科学会などが実施施設の拡大に反発していて、「混乱を避けるためには国が対応する必要がある」として、この夏にも検討会を設置して、検査の在り方を議論していくことを決めました。これを受けて日本産…

日本産科婦人科学会が出した、“新しい「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に関するお知らせとお願い” を読んで

さっそく、昨日発表された『お知らせとお願い』を読んでみました。 先走っていた毎日の記事では、新指針の決定は見送る方針と書かれていましたが、そうではなくて、臨時理事会では新指針が承認され、それに引き続き行われた臨時総会で報告し、了承が得られた…

厚生労働省がNIPTのあり方を議論する検討会を今夏に立ち上げるそうです

3週間ほどブログの更新が滞っていましたが、この間、いくつかの記事を書いては最終的にまとめられず、書きかけのままのものが溜まりつつあります。しかし、表題のニュースが出ましたので、これからしばらくはこの話題で行くことになると思います。今書き溜め…

出生前検査は、中絶することが目的の検査なのか?

私にとって、忘れられない出来事があります。5,6年ほど前のある学会での出来事です。その学会の中の一セッションのテーマが、妊娠中における胎児スクリーニング検査で、4題ほどの発表の一つを私が担当しました。私は、当時の職場での検査データをもとに発表…