染色体異常
現在議論になっている、NIPT(母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査)の扱い。常に話題の中心となっているのは、遺伝カウンセリング体制の充実の必要性であるように見受けられます。もちろんこれは大事なことなのですが、それ以前に、検査結果がどのよう…
みなさま、新年あけましておめでとうございます。 昨年は、新型コロナウイルスに振り回された一年でしたが、今年はどうなるでしょうか。年頭にあたり、今年どういう姿勢でことにあたるべきか、考えてみたいと思います。例年ですと、それほど明確ではないにし…
前記事でとり上げた日本超音波医学会第93回学術集会。私自身も演題を2題発表しました。そのうち1題は、妊娠初期の胎児染色体異常スクリーニングに関するセッションでの「注目演題」、もう一題は、胎児の心臓の検査に関するものです。この学会はweb開催になっ…
先月から今月にかけて、出生前検査・診断に関連した話題を取り扱う複数の学会が、WEB開催されていて、日程も重なり、視聴するだけで忙しいという日々になっています。いろいろと気になる話題があるのですが、そのなかの一つを取り上げたいと思います。 12月1…
つい先日、読売新聞の医療・健康・介護サイト・yomiDr.(ヨミドクター)に、以下の記事が掲載されたことをYahooニュースで知りました。この記事、結構反響があったようで、twitterでも言及されているのを見かけましたし、コメント欄にもたくさんのコメントが…
あいかわらず胎児に「むくみ」があると指摘されたという相談がよく来る中、「海外のデータばかりでなく、自分たちのデータもちゃんと示して説明に使えるようにしたい。」と思っていたわけですが、学会発表したものをようやくまとめることができ、論文として…
本日書く内容は、NIPTの話ではありません。検査を受ける/受けないは、自由意志で決定すべきことであり、それぞれの人が自分にとって必要なのか否かを判断できるようにサポートするところに、カウンセリングの役割があります。時に、NIPTの現場(“遺伝カウン…
最近、学会に認定されていないNIPT実施施設(いわゆる『無認可施設』)で検査を受けた結果、21番、18番、13番以外の染色体のトリソミー陽性との結果が出たという相談が、連続してありました。この場合、少し難しい問題があるのですが、こういう結果を受け取…
先日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が解除されましたが、東京などでは7週間に及んだこの期間に、人々の働き方は大きく変化しました。私たち医療従事者は、日常診療など臨床業務は維持しましたが、学術集会や研究会などの学術活動は、人が集…
その1を出してから、だいぶ時間が経ってしまいました。 新型コロナのことで頭がいっぱいになり、書きかけの原稿が止まっていたのですが、出しておかなければと思い、なんとか仕上げて出すことにしました。 日本産科婦人科学会「着床前診断」に関する見解(2…
先日、すごく残念なことがありまして、書き残さずにはいられないのです。 それは何かというと、着床前診断の指針の問題です。 着床前診断(preimplantation genetic testing: PGT)には3種類あり、それぞれ、以下の名称で呼ばれています。 ・PGT-M (monogeni…
このところちょっと学会の裏事情的な話題ばかりでしたが、それは一段落として、もう少し実際の診療に関わる話をしていきたいと思います。 現在、学会認可の施設でのNIPT検査は、3種類のトリソミーのみに限定されています。NIPTコンソーシアムからは、施設認…
2019年7月13日から15日の3日間にわたって、長野県松本市で開かれた、第55回日本周産期・新生児医学会学術集会に参加してきました。表題のシンポジウムがあり、流石にこのことに言及しないわけにはいかないでしょう。 本当のところ、今回の学会には当院から一…
長い連休を経て、時代は平成から令和へとかわりました。この新しい時代に、日本の女性を取り巻く問題は大きく変わらなければならないと思います。今、様々な方面で、女性の権利やそれに関連する社会の問題の議論が表に出るようになってきましたが、私のもと…
3月には連投していたこのブログ、その後日本産科婦人科学会の準備などもあって、放置状態になってしまっていました。本来であればこの学会の話題を記しておくべきなのでしょうが、いろいろと忙しくなってブログを更新する時間があまり取れず、、、気づけば今…
当院からほど近い場所に、東京逓信病院があります。この病院の小児科部長・小野正恵先生は、長年にわたり、ダウン症候群の方たちの診療を行い、医師として、またときには伴走者として、いろいろな方たちと関わりを持ってこられました。そんな中で、ダウン症…
公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)が、以下のような文書を出しています。 3月1日付です。 NIPT指針改定をめぐる動きについて http://jdss.or.jp/project/20190301jds.pdf 大変わかりやすい解説です。 さすがにこの問題に当事者の立場で長年向き合ってこら…
皆さま、新年あけましておめでとうございます。 クリニックは、4日より診療を開始しました。 年末年始を脈絡なく過ごしたために、大事な執筆作業が思うようにはかどらなかったので、ブログの更新も途切れ途切れになりますが、年頭にあたって、このところ考え…
NIPTの現状について問題提起する以下のブログ記事を書いたところ、それなりの反響をいただきまして、たいへんありがたいことと思う反面、まだまだ影響力は小さくて、肝心のところには届いてないなあと感じる今日この頃です。 drsushi.hatenablog.comこれを出…
先日、当院で検査をお受けになったのちに、赤ちゃんを出産された方から、感謝のお手紙をいただきました。このようなお手紙は、スタッフ皆にとって大変励みになります。 この方は、5年前に出産された男の子に、『ヤコブセン症候群』という希少な染色体微細欠…
もう8月も終わりに近づいてきたわけですが、また暑さがぶり返してきて、体力を消耗する日々です。そんな中、最近たてつづけに悪い意味で驚くべき相談事例があり、気力まで消耗しそうになっています。もう本当にこの国は今後大丈夫なのか、この国でやっていけ…
以前より交流のある、林伸彦医師(現在英国FMFに留学中)が理事長を務める、NPO法人 親子の未来を支える会 https://www.facebook.com/familyandbaby/ のイベント、ピアサポーター・ピアコネクター意見交換会に参加してきました。 1. イギリスの妊婦管理、出…
今日、3月21日は、国連が制定した『世界ダウン症の日:World Down Syndrome Day』です。 各地でさまざまな啓発イベントが行われたようですね。まだしばらく行うものもいくつかあるようです。 世界ダウン症の日2018公式サイト | 公益財団法人日本ダウン症協会…
前にも書いたのですが、「不育症」治療がなぜか徐々に広がりつつあるようです。 不育症患者が増えている!? ーーつづき - FMC東京 院長室 不妊治療の末、妊娠出産に至ったという方のブログやフォーラムでの繋がりが、不妊・不育領域の新たな検査や治療につ…
染色体について確定的な検査結果を得ることができる羊水穿刺、当院では連日行なっているわけですが、この検査をお受けになる方の多くが、検査前から検査中にかけて、かなり緊張しておられるように感じています。まあ胎児がいる場所に針を刺し入れるわけなの…
本日、以下の記事が配信されました。毎日新聞の記事です。 topics.smt.docomo.ne.jp記事によると、日本産科婦人科学会では、NIPTについて現在臨床研究に限定している指針を見直し、検査を扱う施設を増やすことや対象疾患や年齢要件の緩和も段階的に検討する…
日本では、厳密に制限されて臨床研究が続いているNIPTですが、そうこうするうちに海外では多くの国で標準検査の位置付けで行われるようになっています。報道などでは常々「命の選別」のための検査という表現で批判的な語られ方をしているわけですが、本当に…
前記事に続いて、当院に来院されたりお問い合わせいただいたりする中でよく聞かれる、気になる話について記載していきます。 ・NTが厚いと指摘された後に、しばらく後の再検査の方針になったり、クアトロテストを勧められたりする。 NT計測そのものもあまり…
先日、TBS金曜ドラマ・コウノドリ 第10話について書きました。 コウノドリ第10話は、出生前診断の話題でした。 - FMC東京 院長室 ちょうど第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会開催中に放映されたということもあり、学会に参加していた多くの医師の感想を聞くこ…
昨日、今日の2日間、淡路島で開催されていた、第3回 日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会に参加していました。この学会に関連していくつかの話題があり、追い追いアップしていきたいと思いますが、まずは一般の人たちにも馴染みやすい話題を。 実はこの「…