FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

着床前診断

医師の中に遺伝学的検査の必要性の認識が甘い人や検査結果解釈能力の低い人がいる!?

染色体検査などの遺伝学的検査への消極的態度について考える記事を続けてきました。その裏にある心理や考えを探ってきたわけですが、それ以前に、どうもそういった検査の必要性の認識が甘い医師や、解釈のための知識レベル自体が低い医師がいるのではないか…

なるべく検査を行わないように誘導する心理は、どこから来るのだろうか。その2

前記事では、産科・妊婦診療の現場における検査忌避の状況について書きましたが、今回は小児科の現場で経験される話に言及したいと思います。 次子再発の懸念にどう対応するか 当院に検査の相談で来院される方の中に、病気や障碍を持つお子さんを育てておら…

PGT-M(着床前診断)に関する倫理審議会が開かれました。

表題の審議会(第2回)が、2020年11月1日(日曜日)に開催されました。 「PGT-Mに関する倫理審議会(第2部)」の開催についてWEB視聴およびアンケートのお願い※会議当日に使用する資料をご覧いただけます|公益社団法人 日本産科婦人科学会 上記リンクの中の…

検査をきちんと行うことは大事ですというお話

本日書く内容は、NIPTの話ではありません。検査を受ける/受けないは、自由意志で決定すべきことであり、それぞれの人が自分にとって必要なのか否かを判断できるようにサポートするところに、カウンセリングの役割があります。時に、NIPTの現場(“遺伝カウン…

『命の選別』は絶対悪なのか。 - 着床前診断に関わる遺伝相談の難しさ

ジワジワとではあるものの、地道に真面目に診療を続けてきた結果、一般の方からも医療関係者の方からも、出生前検査・診断に関連する相談を受けることが増加しつつあります。そんな中、最近増えてきているものとして、出生前診断のみならず着床前診断の可能…

着床前診断について議論してきた人たちの倫理観に果たして一貫性があるのか?(その2)

その1を出してから、だいぶ時間が経ってしまいました。 新型コロナのことで頭がいっぱいになり、書きかけの原稿が止まっていたのですが、出しておかなければと思い、なんとか仕上げて出すことにしました。 日本産科婦人科学会「着床前診断」に関する見解(2…

着床前診断について議論してきた人たちの倫理観に果たして一貫性があるのか?(その1)

先日、すごく残念なことがありまして、書き残さずにはいられないのです。 それは何かというと、着床前診断の指針の問題です。 着床前診断(preimplantation genetic testing: PGT)には3種類あり、それぞれ、以下の名称で呼ばれています。 ・PGT-M (monogeni…