FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

再考しよう。人工妊娠中絶を行うことが可能か否かを妊娠時期で規定することは適切なのか?

先日、朝のNHKニュースで、早産児の生育限界についての話題が放送されていました。 変わる? 赤ちゃん“命の線引き”|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本 未熟な状態で生まれてきた赤ちゃんが、医療の進歩によって、しっかりと生きていくことが…

日本は出生前診断アレルギー状態のままで良いのか

英国発の新しい記事が出ました。 medicalxpress.com鎌状赤血球症の胎児診断を非侵襲的に可能にする技術が、実用化に近づいている。 という話題です。 NIPT (noninvasive prenatal testing) ではなく、NIPD (noninvasive prenatal diagnosis) なのです。 鎌状…

学会の認定を受けずにNIPTを行なっている医療機関が、X,Y染色体の数的異常の検査を行うことは大きな問題

このところちょっと学会の裏事情的な話題ばかりでしたが、それは一段落として、もう少し実際の診療に関わる話をしていきたいと思います。 現在、学会認可の施設でのNIPT検査は、3種類のトリソミーのみに限定されています。NIPTコンソーシアムからは、施設認…

冷たくあしらわれているのは1度だけではない。

前記事で公開した文書ですが、業界内部では物議を醸しているようです。 この文書の配布先について、少し細かくわかってきました。 この文書は、3ページからなるものです。学会の将来を考えての提言という形をとった1ページ目、別紙資料としての2ページ目、そ…

学会は純粋な学術論争の場たり得るか。日本人類遺伝学会で起こっていること。2. 文書を公開します。

前エントリーで予告しました、日本人類遺伝学会前理事長の福嶋義光 信州大学医学部名誉教授が配布された意見表明文書を全文公開いたします。 なお、この記事の理解のために、前記事および前々記事に目を通していただけると幸いです。そうでないと問題点がさ…

学会は純粋な学術論争の場たり得るか。日本人類遺伝学会で起こっていること。1. 序説

世間のみなさんにはピンとこない話かもしれませんが、、、いま日本人類遺伝学会では、理事・監事選挙がはじまっています。これに関連して、怪文書(?)が回ってきました。これが業界内部では物議を醸しているのです。 本当は私、政治的な争いとかには興味が…

医師たち同士の間にある壁。どうにかならないのか。

今年6月23日に以下の記事を書きました。 NIPTの議論のなかに透けて見える本音。解説しましょう。(1) まずは歴史的流れから - FMC東京 院長室 そして、この記事の最後に(つづく)と記載しました。しかし、この後の続きは途中まで執筆したところで止まり、公…