FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

第54回日本周産期・新生児医学会 違和感の正体が少し見えてきた - 2

7月8日〜10日に開催された、日本周産期・新生児医学会の話題の続きです。 この学会は、もともとは日本新生児医学会という名称の学会でしたが、新生児管理の話題だけでなく、新生児が生まれる前段階である周産期管理の話題もテーマとなり、周産期の話題を中心…

第54回日本周産期・新生児医学会 違和感の正体が少し見えてきた - 1

7月8日〜10日の3日間、第54回日本周産期・新生児医学会が開かれていました。私は10日にあったシンポジウム10『Inter-professional network 出生前診断を考える』に、シンポジストの一人として登壇しました。 このシンポジウムは、自分にとってもクリニックに…

診断が確定しないうちに人工妊娠中絶を選択することは許されないことなのか。

出生前診断について語る際に、避けて通ることのできないことが、人工妊娠中絶です。人工妊娠中絶は、一定の条件下で合法的に認められており、わが国では年間168,015件(平成28年度厚生労働省衛生行政報告例)行われています。 (ちなみに全体としては、長年…

検査を規制しようという発想は、どこから出てきて何が間違っているのか。

5月21日の記事の最後で予告していたテーマについて、ようやくまとめる時間ができました。6月の頭に、二つの学会(日本家族性腫瘍学会と日本超音波医学会)の学術集会がいずれも神戸で開催され、前者は当院の田村が会長という大役でしたし、後者でも私が座長…

某無認可クリニックの全染色体検査:わかってやってるんでしょうかねえ

前回エントリーの最後に、次は検査を規制するという考えのどこが間違っているかについての論考を行うと予告し、途中まで文章を書き始めていたのですが、最近診療の場で気になるケースが連続したので、先にそれについて書きたいと思います。 私のクリニックに…

NIPT:臨床研究の終了の話は進んでいるのでしょうか?

日本産科婦人科学会臨時総会・学術集会が終了して1週間がたち、産婦人科医療の現場も落ち着きを取り戻している気配の今日この頃です。話題に上っていたNIPTの臨床研究の終了については、産婦人科学会では決定事項として日本医学会に投げられ、約1ヶ月で結論…

日本産科婦人科学会に参加して - 親近感と疎外感

先週末、日本産科婦人科学会第70回学術講演会に参加してきました。同時開催された臨時総会には残念ながら参加できませんでした。(なお、私は以前の大学勤務時代には代議員を務めていましたが、いまはヒラ会員です。)今回は、東北大学の八重樫教授が会長を…