FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

学会の認定を受けずにNIPTを行なっている医療機関が、X,Y染色体の数的異常の検査を行うことは大きな問題

このところちょっと学会の裏事情的な話題ばかりでしたが、それは一段落として、もう少し実際の診療に関わる話をしていきたいと思います。 現在、学会認可の施設でのNIPT検査は、3種類のトリソミーのみに限定されています。NIPTコンソーシアムからは、施設認…

冷たくあしらわれているのは1度だけではない。

前記事で公開した文書ですが、業界内部では物議を醸しているようです。 この文書の配布先について、少し細かくわかってきました。 この文書は、3ページからなるものです。学会の将来を考えての提言という形をとった1ページ目、別紙資料としての2ページ目、そ…

学会は純粋な学術論争の場たり得るか。日本人類遺伝学会で起こっていること。2. 文書を公開します。

前エントリーで予告しました、日本人類遺伝学会前理事長の福嶋義光 信州大学医学部名誉教授が配布された意見表明文書を全文公開いたします。 なお、この記事の理解のために、前記事および前々記事に目を通していただけると幸いです。そうでないと問題点がさ…

学会は純粋な学術論争の場たり得るか。日本人類遺伝学会で起こっていること。1. 序説

世間のみなさんにはピンとこない話かもしれませんが、、、いま日本人類遺伝学会では、理事・監事選挙がはじまっています。これに関連して、怪文書(?)が回ってきました。これが業界内部では物議を醸しているのです。 本当は私、政治的な争いとかには興味が…

医師たち同士の間にある壁。どうにかならないのか。

今年6月23日に以下の記事を書きました。 NIPTの議論のなかに透けて見える本音。解説しましょう。(1) まずは歴史的流れから - FMC東京 院長室 そして、この記事の最後に(つづく)と記載しました。しかし、この後の続きは途中まで執筆したところで止まり、公…

超音波検査の結果だけで中絶してはいけないのか(医師の説明に食い違いがあるとき)

出生前検査・診断に集中して診療を続けていると、毎日のようにいろいろな経験をして、本当に勉強になります。日々、技術と知識がアップデートされていく実感があります。と同時に、わが国の一般的な産科診療とのギャップを感じることが多くなってきました。…

全染色体は大丈夫?「ビショウケツ」の検査も受けた? - 非認定NIPT提供施設で全染色体の異数性や微細欠失症候群を扱っていることの問題点 その2

前回の続きです。 いわゆる『非認定施設』でNIPTを受けてきた方に、「どのレベルまでの検査をお受けになりましたか?」と伺ったところ、「“ビショウケツ”までやりました。」という方が、複数おられたのです。 「ビショウケツ?」 一人だけならその方が間違っ…