FMC東京 院長室

FMC東京クリニック 院長のブログです

NIPTを行うための指針とは?(2016年10月25日)

日本医学会などの指針に反して、新型出生前検査(NIPT)を行っている施設が現れたと言う報道が出てきています。当院受診を検討しておられる方々は特に関心をお持ちの話題ではないかと思われます。
しかし、多くの方々は、一体どのような指針に基づいてこの検査が実施されてきたのか、なぜFMC東京クリニックではこの検査を行っていないのかについて、あまりよくおわかりではないのではないかと思います。そこで、以下に日本産科婦人科学会が示した指針のうちの一部(施設基準に関連した項目)を転載します。
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V-l母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を行う施設が備えるべき要件。 
1. 出生前診断、とくに 13番、 18番、 21番染色体の数的異常例について、自然史や支媛体制を含めた十分な知識および豊富な診療経験を有する産婦人科医師(産婦人科専門医*1と、出生前診断、とくに 13番、 18番、 21番染色体の数的異常例について、 自然史や支援体制を含めた十分な知識および豊富な診療経験を有する小児科医師(小児科専門医*2)がともに常時勤務していることを要し、医師以外の認定遺伝カウンセラー*3または遺伝看護専門職が在籍していることが望ましい。上記の産婦人科医獅(産婦人科専門医*1)は臨床遺伝専門医*4であることが望ましく、上記の小児科医師(小児科専門医*2)は臨床遺伝専門医または周産期(新生児)専門医*5であることが望ましい。 
上記の産婦人科医師(産婦人科専門医)、小児科医師(小児科専門医)の少なくとも一方は臨床遺伝専門医の資格を有することを要する。
 *1公益社団法人 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 *2公益社団法人日本小児科学会認定小児科専門医 *3日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定遺伝カウンセラー *4日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定臨床遺伝専門医 *5一般社団法人日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医 
2. 遺伝に関する専門外来を設置し、 1項に述べた産婦人科医師と小児科医師(および認 定遺伝カウンセラーまたは遺伝看護専門職)が協力して診療を行っていること。 
3. 検査を希望する妊婦に対する検査施行前の遺伝カウンセリングと検査施行後に結果を 説明する遺伝カウンセリングのいずれについても、十分な時間をとって行う体制が整えら れていること。なお、検査施行前後の遺伝カウンセリングには、 1項で挙げた専門職のすべ てが直接関与することが望ましい。また検査施行前の遺伝カウンセリングから検査の実施 までには、被検妊婦自身が検査受検の要否について十分に考慮する時間をもつことができるよう配慮すること。
4. 検査施行後の妊娠経過の観察を自施設において続けることが可能であること。
5. 絨毛検査や羊水検査などの侵襲を伴う胎児染色体検査を、妊婦の意向に応じて適切に施行することが可能であること。
6. 妊婦が侵襲を伴う胎児染色体検査を受けた後も、妊婦のその後の判断に対して支援し、適切なカウンセリングを継続できること。
7. 出生後の医療やケアを実施できる、またはそのような施設と密に連携する体制を有すること。
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当院は、臨床遺伝専門医(産婦人科専門医)2名と認定遺伝カウンセラー2名を常勤スタッフとして揃え、連日多くの方々を対象に遺伝カウンセリングを行っています。遺伝カウンセリング、とくに出生前の検査や診断にかかわるそれに関して、他には類を見ないほどの充実した体制の施設であると自負しています。
しかしながら、上記要件のうち、「小児科医師が常勤勤務していること」「検査施行後の妊娠経過を自施設において続けることが可能であること」の2点を満たしていないため、検査を行う施設としての申請ができません。

これが、当院ではNIPTを扱うことができない理由となっています。