FMC東京 院長室

FMC東京クリニック 院長のブログです

施設認定を受けずにNIPTを実施している施設 今はどうなっている?

昨年末に、無認定でNIPTをおこなっている医師を処分するというニュースがありました。

無認定で新型出生前診断=医師3人を懲戒処分―産婦人科学会

この3人の医師のうち2人は、学会からの勧告を受けて、今後検査を行わないと誓約したが、1名は誓約しなかったという話でしたが、その後どうなっているのでしょうか。

 

実は、この残った1名の医師の施設(正確にはこの医師が代表を務める“研究所”が検査を扱い、実際の採血は別の医療機関(産婦人科ではない)でおこなっている)で、検査を受けたという妊婦さんが、何人も当院を受診されています。受診される理由は様々ですが、共通して言えることは、NIPT検査をお受けになる時点で何の説明も受けておられないため、検査の目的・意味や結果の解釈などについての理解度がおしなべて低いということです。もちろん、ネット上にはいろいろな情報源からの情報があるので、理解度の高い方もいらっしゃるのですが、まだまだ正確な情報がアクセスしやすい形で提供されているとはいいがたい現状ですので、たいへん危ういです。

検査をお受けになった方々から伺ったところでは、どうやらこの検査はたいへん人気があって、採血するクリニック(ここがどうも◯◯◯い施設という評判です)が混み合っているそうです。ネット上での宣伝の勢いもすごいし、手続きも簡単で、手軽なのが何よりの要因なのでしょう。

ここで“検査陽性”という結果が出たという方が、確定検査を希望されて当院に来られたりするのですが、この検査結果の説明用紙も、郵送されてくるだけで、医師からの直接の説明はありません。郵送されてきた用紙も確認していますが、英語の説明をそのまま翻訳したもののようで、日本語での専門用語を知らない人が翻訳しているのか、ところどころあやまった用語があります。検査そのものは信頼性が高いものであることは把握していますが、その前後の扱いが杜撰であると言わざるを得ません。

陰性一致率の高い検査ですので、“陰性”と評価された人は、それで良しとされているのでしょう。それはそれで良いことだとは思います。しかし、これで陰性なら何の心配もないと思ってしまっている人も多くおられるのではないかと思うと、それも心配ではあります。ただそれ以上に、“陽性”という結果を手にした人が、その後どのようにされているのかは、本当に心配です。

当院にアクセスされた方には、当院で一から説明し直します。(なぜ検査を扱うことができない当院が、尻拭いのような役割を担わなければいけないのか、疑問に感じることもあるのですが、しかたがありません。)しかし、実際に“陽性”という検査結果を手にされた方々は、その後どうされているのでしょうか。どこに検査結果を持って行って、どういう説明を受けて、どのようにその後の検査に進んでおられるのか、どういった選択をしておられるのか、まったくわかりませんので、心配でなりません。

上記施設が、あまりにも手軽に検査を推進していることには問題があるという考えは、日本医学会や日本産科婦人科学会の先生方と共通している部分もあります。しかし私は、現在のありかた(施設認定・登録し、臨床研究として実施する)について、これで良いと思っているわけではありません。むしろ、アクセスを制限したり、ハードルを高くしすぎていることが、こういった施設が出てきて、繁盛してしまうことにつながってしまうのではないかと感じます。アクセスそのものを制限するようなありかたで、検査を受けられないと困るから慌てるような気持ちにさせるのではなく、アクセスは容易にして、検査を受けるか受けないかを自分の判断で選択できるような形にならなければいけないと思います。

諸外国ではもう、この検査が普通に提供されることが前提で、これまでのその他の検査の位置付けが議論されているのに対し、ひとりわが国だけが蚊帳の外に置かれているような現状を改善すべきであると考えています。