FMC東京 院長室

                                                                  遺伝カウンセリングと胎児検査・診断に特化したクリニック『FMC東京クリニック』の院長が、出生前検査・診断と妊婦/胎児の診療に関する話題に関連して、日々思うことを綴ります。詳しい診療内容については、クリニックのホームページをご覧ください。

妊婦さんやその家族の声は響きにくい?

第53回日本周産期・新生児医学会に参加しています。 朝一のパネルディスカッション、『NIPTー何が問題かー』では、検査のありかたに関する意見が、いつもこのような場で出生前検査に対して否定的な見解を述べられる重鎮の先生から発せられたので、心配を抱え…

18トリソミーに関連した議論に感じる違和感(2)

(つづく)と記した前回の記事から2カ月が経ってしまいました。ブログ更新が滞っていたことには、特別な事情があるわけではありません。ただ単に仕事に追われていたのですが、GWでリフレッシュして、また頭を整理し始めています。 さて、前回の続きです。 18…

18トリソミーに関連した議論に感じる違和感(1)

周産期学シンポジウム『周産期医療における「遺伝」を考える』から、1カ月が経ちました。この時に考えたことをもう少し整理しておかなければならないと思っていたのですが、この間、胎児心臓病学会などもあって、少し時間を要してしまいました。 周産期学シ…

胎児の“むくみ”(あるいは、NT)について (2)

3月に入ってからもまだまだ寒い日が続いていますが、少しづつ日差しは春らしくなってきているような気がします。 さて、新年早々に、NTについての記事を公開しました 胎児の“むくみ”(あるいは、NT)について (1) - FMC東京 院長室 が、あいかわらず、“むく…

18トリソミーは、あまり知られていない?

18トリソミーという染色体異常について、一般にはどのくらい知られているものなのでしょうか。私は、もっと知られていると勘違いしていました。 長年にわたり、胎児診断の世界に身を置いていたために、私たちの感覚と一般の人たちの感覚に大きな違いがあると…

なぜ、出生前検査に、罪悪感が伴うのか?

当院に来院される方々の中に、出生前検査を受けることについて、後ろめたい感情をお持ちの方が少なからずおられます。曰く、「主治医には黙っていてほしい。」「親には内緒で来た。」「検査を受けることを、まわりの人には言えない。」などです。なぜ、出生…

NIPTだけを厳しい指針で規制することによって何が起きているのか? (3) - 遺伝カウンセリングは免罪符なのか

先日、施設認定を受けずにNIPT検査をおこなっている検査会社と医療機関についての記事を書きました。 施設認定を受けずにNIPTを実施している施設 今はどうなっている? - FMC東京 院長室 このところ、ここで検査を受けた、あるいは受けるという方が当院にも…